読書の旅

私にとって「読書」とは何かを考えます。

母性(湊かなえ)

母性とは何か。

 

人生におけるすべての判断基準が自身の母親(祖母)に依存している母親=「私」。

その母親に愛されたいと願う娘(孫)=「わたし」。

 

この物語は「私」と「わたし」の回顧で話が進んでいく。

どちらもそれぞれの主観で書かれているため、読み進めていくと驚くほどに裏切られる。両者が全く反対のことを書いてあったりするから油断できない。

 

とことんすれ違う母と娘の想い。

台風の惨劇とこのすれ違いが悲劇を生むのだが・・・

 

ただのミステリーで終わらないのが湊かなえ作品。

最後に、作家が母性とは何かをこたえる。

 

「時は流れる。流れるからこそ、母への思いも変化する。それでも愛を求めようとするのが娘であり、自分が求めたものを我が子に捧げたいと思う気持ちが、母性なのではないだろうか。」(p.349)

 

母性ってなんだろう。

 

はる